パンくず式ナビゲーション
更新日:2006年10月01日 掲載日:2006年10月01日
1.放射線治療による皮膚損傷のメカニズム
放射線はDNAを含む細胞に直接作用して、増殖機能を不能にします。この働きをもってがん細胞増殖機能を不能にしますが、それと同時に正常細胞にも同様に作用します。特に細胞分裂が常に活発な皮膚・腸粘膜・骨髄は、放射線に対する感受性が高く、影響を受けやすくなります。最も多く行われている外部照射法の場合、放射線は必ず皮膚を通過して病巣へ到達します。照射を受けた皮膚は、日焼けをしたときの皮膚と同様に水分が蒸発・乾燥し、かゆみを伴うようになります。また、皮膚には盛んに細胞分裂を繰り返している基底細胞を含んでおり、放射線の影響を受けると皮膚の表面を覆う角質層の減少・消失を起こし、適度の水分が保持できず、「ドライスキン」という乾燥状態がさらに悪化していきます。この状態では、ささ� ��な刺激(擦れたり、かいたりする)だけでも、皮膚は損傷を受けます。また、首・腋(わき)の下、乳房、股間、肛門など、皮膚の可動性が高かったり、衣類などで擦れやすい、皮膚がこすれあう場所へ照射をしている場合は、より皮膚に損傷を与えやすくなります。
また今日では、放射線療法と化学療法を併用していることも多く、化学療法の副作用により、皮膚障害を起こすリスクを抱えるということになります。
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2.合併症の時期と線量
放射線治療による皮膚障害は、照射部位や照射方法、照射方向によって反応が異なります。そのため専門医師や看護師から、事前に自分の受ける治療に関して説明を受け、理解しておく必要があります。例えば、使用する放射線の種類やエネルギーは、がんの深さにより決定されています。がんが皮膚表面より浅い場所に存在し、X線を使用する場合、がんに放射線の線量が最大になるように、低いエネルギーを使用して照射します。そのため皮膚の表面での線量が高くなり、皮膚炎を発症しやすくなります。逆に深いがんに対しては、高いエネルギーを使用して深部にあるがんにピークを合わせるため、皮膚表面での線量は低く、皮膚障害を発症しにくいということになります。
また他門照射といって、放射線を一方向からではな く、何方向かに分散する方法で行うと、放射線量が分散し、皮膚障害のリスクが低くなります。
一般的な発症時期と照射量を表に示します。放射線治療による急性の皮膚障害は、治療中から治療終了直後に起こり、発症は前記のとおり照射方法などにより異なります。急性の皮膚障害の場合の多くは一時的な症状であり、治療終了後1〜3ヵ月には回復します。また、急性の皮膚障害に比べて頻度は低いですが、放射線治療終了後数ヵ月〜数年経過して潰瘍(かいよう)形成を発症する慢性の皮膚障害は、回復も遅く、治療が困難なことがあります。
さらに放射線治療終了後に抗がん剤治療を行った場合、使用する薬剤によっては、放射線照射部位の皮膚炎を起こすことがあります。これをリコール現象といいます。
おむつ領域に接触性皮膚炎
時期 | 照射量 | 症状 |
照射開始後2〜3週 | 20〜30Gy | 第1度皮膚炎 赤み・脱毛・皮膚乾燥 ⇒治療後2〜3ヵ月で回復 |
照射開始後3.5〜4.5週 | 35〜45Gy | 第2度皮膚炎 著名な赤み・腫れ・痛み ⇒色素沈着・皮膚の乾燥状態が残る徐々に正常皮膚に回復 |
照射開始後5〜6週 | 50〜60Gy | 第3度皮膚炎 水泡・びらん・易出血 ⇒皮膚の萎縮(いしゅく)・色素沈着・永久的脱毛・毛細血管の拡張・皮下硬結などが残る |
耐用量以上の照射 | 第4度皮膚炎 回復不可能な皮膚潰瘍・壊死(えし、皮膚の欠損) ⇒外科的切除・皮膚移植が必要 |
3.放射線皮膚障害のケア方法
皮膚障害をはじめとする、放射線治療における有害反応(副作用)は、照射部位、照射方法、線量によって予測が可能です。障害が最小限になるよう、「予防的ケア」について理解し実施することが大切です。
放射線療法予防的スキンケア
実際に皮膚障害が出現した場合は、まず皮膚の状態・症状を専門医や看護師に相談し、適切な処置をしましょう。病院で実施されている一般的なケアについてご説明します。
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(1)皮膚にほてりやかゆみヒリヒリ感がある場合
氷嚢やアイスノン、濡れタオルで冷やす:皮膚に当たったときに刺激にならないようアイスノンはシャーベット状になった柔らかいものを使用しましょう。冷罨法(れいあんぽう)に予防的効果はないため、症状があるときのみ行いましょう。
冷罨法にて症状が緩和しないときは、トプシムスプレーを使用することがあります。ただしアルコールを含有しているため、スプレーの際に「しみる」などの症状や、アルコールに過敏な方は使用に注意が必要です。
(2)軟膏使用によるケア
軟膏は医師の診察・処方を受けて使用しましょう。皮膚の状態によっては、軟膏を使用することによって皮膚炎が悪化してしまうことがあります。患部の刺激を避け、無処置で経過をみていくということが適切な場合もあります。
軟膏は、直接皮膚に塗ると刺激となるため、リント布や繊維が柔らくなった再生ガーゼなどを使用します。軟膏はたっぷり厚めに使用します。使用量が少ないとリント布やガーゼが軟膏を吸収し、患部に吸着して皮膚剥離の原因になります。また、患部に貼る際は皺(しわ)にならないよう、テープなどはできるだけ貼らないか必要最小限とし、包帯・スカーフ、下着(胸帯)などで工夫して固定しましょう。軟膏使用は照射後・入浴後・就寝前など、1日1〜2回を目安としましょう。放射線照射前には、必ず軟膏をやさしく洗い流して取り除きます。拭き取ると皮膚を擦ることで刺激となり、症状が悪化する場合があります。また、軟膏を皮膚につけたまま治療を受けると、線量が増加し� ��皮膚炎を発症・悪化させる原因となります。さらに、照射目標に使用しているマーキングは、軟膏により消えてしまうことがあるため、使用時には注意が必要です。皮膚障害の状況に応じた軟膏使用例を表に示します。
皮膚障害の状態(症状) | 使用する軟膏例 |
乾性皮膚炎 | 抗炎症作用のアズノール軟膏 |
かゆみが強く著明な赤みがみられる場合 | ステロイド入り軟膏:リンデロンアズノール軟膏(0.12%リンデロン VG軟膏250g+アズノール軟膏750g)トプシムスプレー |
皮膚剥離:びらんがあり湿性皮膚炎の場合 | 抗生物質入り軟膏:OTCVアズノール軟膏(塩酸テトラサイクリン5g+アズノール軟膏500g) |
(3)皮膚剥離、びらん、潰瘍などの場合
アンケートにご協力ください
よりよい情報提供を行うために、アンケートへの協力をお願いいたします。
簡単な7問ほどのアンケートですので、ぜひ、ご協力ください。
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